占有の意義

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 先ほど窃盗罪の要件とは、「他人の所有する財物の占有を移転させて取得したこと」と述べましたが、ここでの「占有」とはどういうことをいうのでしょうか。刑法上の占有とは、財物に対する事実上の支配のことをいいます。事実上の支配があるかどうかは、占有の事実と占有の意思とを総合して判断されます。どのような判断がなされるかは事案によりますが、被害者に事実上の支配があるかどうかによって窃盗罪となるか遺失物横領罪になるか区別されるため、実務上も非常に関心の高い論点となります。
 例えば典型的な例として、道路上でのひったくりがあった場合を考えてみましょう。被害者が肩掛けバックを持ち歩いていたとして、後ろからバイクに乗った犯人が肩掛けバックをつかみ奪い去ったとします。この時、被害者はバックを肩に掛けて実際に持っているので占有の事実は当然認められます、さらに、主観的にもそのバックを占有しているという意識がありますので、占有の意思も認められます。したがってこのひったくり犯人の行為は、窃盗罪にあたることになります。

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